る。それは生きていく意義を失ったためである。 3)心理的適応が悪い:退職した後、収入ばかりでなく、社会的地位や権力もなくなり、心理的に大きな衝撃を受ける。また退職後の生活環境には、なかなかなじめない。例えば、毎日自宅で暇が多すぎて、つい家庭内の色々な欠点や、配偶者の欠点等が目についてくる。そのため、今まで無事だった夫婦関係が悪化したりすることがある。また、孤独感や感情的に不安定、不眠症や欝病にかかる等、色々な心理的問題を引き起こす。 4)家族の人数が減って、介護してくれる人手も足りなくなる。人口高齢化を引き起こした出生率の低下は、同時に子供の数の減少を意味する。そのため、手伝ってくれる人が少なくなり、また家族形態の変化で、同居する子供も少なくなり、毎日の生活に影響する。また、長寿はより多くの高齢者が生きのびることを意味し、世話しなければならない年長者が増え、世話を要する期間も長引くということで、世話をする人手が少なくなったことと相まって、益々問題の深刻さが増す。 [写真:9/痴呆老人の介護には根気がいる] 次に、家庭について言えば、今まで家庭は家族の大部分の基本的な欲求を満足させてきた。しかし、社会の近代化に伴って、家族形態が大きく変化した。もう昔の大家族は維持が難しく、高齢者の欲求を全部家庭内で満足させることができなくなった。核家族の増加は、高齢者の独居の増加を意味する。彼等の生活費は、子供たちがまだ仕送りしているが、二世帯の費用がかさむことは当然で、遠く離れているため、高齢者の介護が非常に不便になる。また、同居の場合でも、昼間は若い人は職場や学校に出掛けて、高齢者が留守番をする状態で、何
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